10月になると、生命保険や地震保険の「保険料控除証明書」が自宅に届き始めます。会社員の年末調整で使う書類ですが、封筒を保管したまま忘れてしまったり、電子データだけ届いて紙がないことに戸惑ったりする人も多いのではないでしょうか。
2026年分の年末調整では、勤務先へ提出する保険料控除申告書に、生命保険料・地震保険料などの金額を記入します。控除を受けるには、保険会社などが発行した証明書類の添付や提示、または勤務先が対応している場合の電子データ提出が必要です。
ただし、届いた証明書をそのまま転記すれば終わりとは限りません。契約区分、旧契約か新契約か、実際に保険料を払った人、年払い契約の支払予定額などを確認する必要があります。この記事では、年末調整の締切前に慌てないための確認順を、家族の分も含めて整理します。

先に結論|届いた証明書を保管し、勤務先の提出方法を確認する
年末調整の書類は、勤務先が指定する期限と方法で提出します。まず給与担当者の案内を確認し、紙の証明書を提出するのか、年末調整の電子システムへデータを取り込むのかを確かめましょう。
国税庁の2026年分の案内では、生命保険料控除や地震保険料控除について、原則として保険会社などが交付する控除証明書、またはQRコード付控除証明書などの添付・提示が必要とされています。電子データで提出する場合も、勤務先が電子提出に対応していることが前提です。
自分で確定申告をする場合と、会社の年末調整を受ける場合では提出先が異なります。年末調整の書類を税務署へ直接送るわけではない点にも注意してください。
最初に分ける4種類の控除証明書
封筒を開けたら、書類を一つの山にせず、次の種類に分けておくと記入ミスが減ります。
- 生命保険料控除
一般の生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料の区分を確認します。 - 地震保険料控除
火災保険のすべてが対象になるわけではありません。地震保険料や、一定の旧長期損害保険料の記載を確認します。 - 社会保険料控除
国民年金保険料など、生命保険料とは別の欄に記載するものです。家族の保険料を自分が支払った場合は、支払った人と対象期間を確認します。 - 小規模企業共済等掛金控除
iDeCoの加入者掛金などが該当します。生命保険料控除の欄に混ぜず、発行された払込証明書を別に保管します。
証明書の名前が似ていても、年末調整の申告欄は同じではありません。特にiDeCoの掛金払込証明書を生命保険の証明書と一緒にしてしまうと、提出漏れにつながります。
生命保険料控除証明書で見るべき5項目
生命保険の証明書には、契約者、被保険者、受取人、払込保険料、控除区分などが記載されています。次の項目を一つずつ確認しましょう。
- 証明書の対象年が2026年分になっているか
- 一般・介護医療・個人年金のどの区分か
- 新契約・旧契約のどちらか
- 証明額と、年末までの支払予定額のどちらを使うか
- 実際に保険料を支払った人が誰か
契約者名が家族でも、保険料を誰が負担したかによって申告できる人が変わる場合があります。名前だけで判断せず、家計の口座やカードから誰が支払ったかを確認してください。受取人の条件も控除の対象に関係するため、疑問があれば保険会社か勤務先へ問い合わせます。
生命保険料控除は、一般の生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料の合計額を計算します。3区分を合計しても生命保険料控除額には上限があるため、証明書の保険料をそのまま税額の減額分と考えないようにしましょう。
地震保険料控除は火災保険と一緒に確認する
「火災保険に入っているから控除できる」とは限りません。地震保険料控除の対象になるかは、保険会社が発行する証明書の区分で確認できます。地震保険料と旧長期損害保険料の両方が記載されている契約では、選択が必要になるケースがあります。
国税庁の案内では、地震保険料控除の控除額には上限があり、証明書または電磁的記録を印刷した書面などで確認します。自宅用と賃貸用の部分が同じ契約に含まれている場合は、証明書の金額をそのまま書かず、保険会社や勤務先に按分方法を確認してください。
証明書が届かない・なくしたときの順番
- 保険会社の契約者ページを確認する
紙ではなく電子データで発行されている可能性があります。マイナポータル連携に対応する発行主体もあります。 - 住所変更や契約者名の変更を確認する
引っ越しや改姓後に登録情報が古いと、郵送物が届かないことがあります。 - 保険会社へ再発行を依頼する
契約番号が分からなくても、本人確認後に案内してもらえる場合があります。提出期限を伝えてください。 - 勤務先へ提出期限と代替方法を聞く
証明書の到着が間に合わない場合の扱いは、会社の年末調整の処理方法によって異なります。 - 間に合わなければ確定申告も検討する
年末調整で控除できなかった分は、必要書類をそろえて確定申告で申告できる場合があります。
国税庁のFAQでは、支払予定額のお知らせしか手元にない年払い契約などについて、提出期限との関係で勤務先へ手入力する扱いが案内される場合があります。ただし、会社側の対応が必要なので、自己判断で証明書の代わりに提出するのではなく、給与担当者へ確認してください。
マイナポータル連携を使うときの注意
控除証明書の電子データをマイナポータル連携で取得できる場合、入力の手間を減らせます。国税庁は、生命保険料控除証明書や地震保険料控除証明書などを連携して申告書へ自動入力できる仕組みを案内しています。
ただし、すべての保険会社・契約・勤務先が同じ方法に対応しているわけではありません。連携できない契約がある、データの反映が遅い、勤務先が紙提出のみということもあります。連携したから紙の証明書をすぐ捨てるのではなく、年末調整が受理されたことを確認するまで保管しましょう。
マイナンバーカードの電子証明書の期限切れなどで連携できない場合もあります。申告期限直前に初めて設定するより、証明書が届いた時点で一度ログインして取得できるか確認するほうが安心です。
家族分の保険料を払っている人が確認すること
配偶者や子どもの生命保険を自分の口座から支払っている場合、契約者名だけでなく、保険料負担者と受取人の関係を確認します。家族分を合算して申告できるとは限らず、証明書を会社へ出す前に保険会社へ問い合わせたほうが安全です。
国民年金保険料を家族の分まで支払った場合も、社会保険料控除の扱いが関係します。生命保険料控除とは違う欄に記載するため、証明書を「年金」「生命保険」「地震保険」「iDeCo」の4つに分けておくと、家族の書類を取り違えにくくなります。
2026年分の提出前チェックリスト
- 給与担当者から年末調整の提出期限を確認した
- 2026年分の生命保険料控除証明書を集めた
- 一般・介護医療・個人年金の区分を確認した
- 地震保険料の証明書を火災保険と分けた
- iDeCoなどの払込証明書を別にした
- 実際に保険料を支払った人を確認した
- 電子データ提出か紙提出かを勤務先へ聞いた
- 未着・紛失分は保険会社へ再発行を依頼した
- 提出後も証明書をすぐ捨てずに保管した
よくある質問
控除証明書がないと年末調整はできませんか?
控除の種類や会社の処理方法によって異なります。証明書の添付・提示が必要なものがあるため、まず保険会社へ再発行を依頼し、勤務先へ未着時の扱いを確認してください。
生命保険料を払った金額がそのまま返ってきますか?
いいえ。控除は所得から差し引く仕組みで、支払った保険料が全額返金されるものではありません。実際の税額への影響は所得や他の控除によって変わります。
証明書をなくしたら確定申告しかありませんか?
保険会社へ再発行を依頼できることがあります。電子データで取得できる場合もあるため、紛失に気付いた時点で発行元へ確認してください。
まとめ|10月は証明書を集める月として使う
2026年分の年末調整は、提出期限直前に書類を探すと、未着や契約区分の確認で慌てます。10月に届いた封筒を開けたら、生命保険、地震保険、社会保険、iDeCoの書類を分け、勤務先の提出方法と期限を確認しましょう。
特に大切なのは、証明書の金額だけでなく、対象年、契約区分、保険料を払った人、電子データの提出可否を確認することです。分からない項目を推測して記入せず、保険会社と給与担当者へ早めに聞くことが、提出し直しを防ぐ一番確実な方法です。
退職後の健康保険や年金の切り替えも同じ時期に重なる場合は、退職後の健康保険を比べる順番もあわせて確認しておくと、年末の手続きを整理しやすくなります。


