介護サービスを利用し始めると、自己負担が1割や2割であっても、毎月の請求額が思ったより高くなることがあります。そのようなときに確認したいのが、介護保険の高額介護サービス費です。
この記事では、1か月の自己負担に上限がある仕組み、所得区分ごとの目安、申請の順番、対象外になる費用、家族が確認するときの注意点をまとめます。自治体によって申請書の届き方や提出方法が異なるため、最後は住んでいる市区町村の案内で確認してください。

結論|介護サービスの自己負担が上限を超えたら申請を確認
高額介護サービス費は、同じ月に支払った介護保険サービスの自己負担額が、所得区分ごとに決められた上限額を超えた場合、超過分が支給される制度です。1割、2割、3割のどの負担割合でも、上限額を超えた部分が対象になる可能性があります。
ただし、介護施設の食費や居住費、日常生活費、福祉用具の購入費、住宅改修費などは、一般的な高額介護サービス費の計算に含まれません。請求書の合計額すべてが対象になるわけではない点が、最初に知っておきたい注意点です。
最初に確認すること
- 同じ月の介護保険サービス自己負担額はいくらか
- 世帯の所得区分と住民税課税状況はどうなっているか
- 食費・部屋代・福祉用具購入費などが混ざっていないか
- 市区町村から支給申請書や案内が届いていないか
高額介護サービス費とは
介護保険サービスを利用すると、原則として利用料の1割、一定以上の所得がある人は2割または3割を自己負担します。利用日数が増えたり、複数のサービスを組み合わせたりすると、自己負担額が家計を圧迫することがあります。
高額介護サービス費は、こうした介護保険サービスの自己負担に月ごとの上限を設け、上限を超えた部分をあとから支給する制度です。医療費の高額療養費と似ていますが、対象となる費用や申請先は別なので、医療費の制度と一緒に考えないようにしてください。
| 確認項目 | 高額介護サービス費 | 注意点 |
|---|---|---|
| 対象 | 介護保険サービスの自己負担 | 保険外の費用は別に確認 |
| 判定単位 | 原則として1か月・世帯単位 | 所得区分で上限が異なる |
| 支給方法 | 上限超過分をあとから支給 | 自治体の申請手続きが必要な場合がある |
| 申請先 | 住民票のある市区町村など | 窓口名や書類は自治体で異なる |
所得区分ごとの月額上限の目安
2025年8月以降の厚生労働省資料では、住民税非課税世帯かどうか、年金収入とその他の所得、課税所得などに応じて上限額が示されています。次の金額は制度を確認するための目安であり、個別の判定は市区町村の通知を優先してください。
| 主な所得区分 | 月額上限の目安 | 確認ポイント |
|---|---|---|
| 生活保護受給者など | 個人15,000円・世帯15,000円 | 自治体の判定を確認 |
| 住民税世帯非課税・年金等収入とその他の所得の合計が809,000円以下 | 世帯24,600円・個人15,000円 | 年金以外の所得も確認 |
| 住民税世帯非課税のその他の区分 | 世帯24,600円 | 世帯構成により判定 |
| 課税所得約380万円未満 | 世帯44,400円 | 年収の目安と課税所得は異なる |
| 課税所得約380万円以上690万円未満 | 世帯93,000円 | 自治体の所得区分を確認 |
| 課税所得約690万円以上 | 世帯140,100円 | 高所得区分の上限 |
住民税非課税世帯でも、年金収入だけでなくその他の所得が判定に影響する場合があります。本人だけの収入ではなく、同じ世帯の扱いと前年所得を確認することが大切です。
申請方法|届いた書類を放置しない
対象になると、市区町村から高額介護サービス費に関する支給申請書や案内が届くことがあります。書類が届く時期、申請書の名称、提出先は自治体によって異なるため、郵便物を確認したら次の順番で進めます。
- 介護サービスの領収書や利用明細をまとめる
同じ月の利用分を集め、介護保険サービスの自己負担と、食費・居住費などの保険外費用を分けます。 - 市区町村から届いた案内を確認する
対象期間、申請期限、提出窓口、必要書類、振込先の指定方法を確認します。 - 申請書に本人情報と振込先を記入する
被保険者番号、住所、氏名、口座情報などを記入します。口座名義や支店名の間違いに注意してください。 - 必要書類を添えて提出する
郵送、窓口、電子申請など、自治体が指定する方法で提出します。提出前に書類をコピーまたは撮影して保管します。 - 支給決定と振込を確認する
決定通知が届いたら対象月と支給額を確認し、通帳や銀行アプリで入金を確認します。
初回の申請後、同じ制度の支給が発生した場合は、次回以降の申請が不要になる自治体もあります。ただし、転居、世帯変更、口座変更などがあれば改めて届出が必要になることがあるため、「一度申請したから永遠に何もしなくてよい」とは限りません。
対象外になりやすい費用
介護施設の請求書を見ると、介護サービス費以外の項目も一緒に記載されていることがあります。高額介護サービス費を計算するときは、次の費用が一般的に対象外です。
- 施設の食費
- 施設の居住費・部屋代
- 日用品費や理美容代などの日常生活費
- 福祉用具の購入費
- 住宅改修費
- 保険外サービスや加算対象外の費用
食費・居住費については、所得が低い人を対象にした別の軽減制度が用意されている場合があります。また、福祉用具や住宅改修にも別の給付制度があります。高額介護サービス費に入らないからといって、すべての支援がないとは限りません。
申請が必要か分からないときの確認先
「対象かもしれないのに申請書が届かない」「施設の請求額が上限を超えているように見える」という場合は、ケアマネジャーだけでなく、保険者である市区町村の介護保険担当窓口へ確認してください。
問い合わせるときは、介護保険被保険者証、利用明細、領収書、自治体から届いた通知、振込先にしたい口座情報を準備します。電話で聞く場合も、担当部署名と必要書類をメモしておくと、家族間での確認がしやすくなります。
自治体の公式サイトで探すときは、「自治体名 高額介護サービス費 申請」「自治体名 介護保険 利用者負担 上限額」などの言葉で検索し、広告やまとめサイトではなく、自治体ドメインの案内を開いてください。
家族が代わりに確認するときのチェックリスト
親の介護費用を子どもが管理している場合でも、誰が申請者で、どの口座に振り込むのかを最初に確認しておくとトラブルを防げます。
- 介護保険の被保険者番号を確認したか
- 利用月ごとの明細と領収書を分けたか
- サービス費と食費・居住費を分けたか
- 同じ世帯の所得区分を確認したか
- 申請書の口座名義が正しいか
- 提出日と問い合わせ先を記録したか
- 決定通知と振込額を照合したか
家族が手続きを手伝う場合も、本人に無断で口座情報を変更したり、自治体を名乗る相手に暗証番号を伝えたりしないでください。分からない点は自治体の介護保険担当窓口に本人または正当な代理人として確認します。
よくある質問
Q. 介護サービスを使った月は全員が申請できますか?
A. 自己負担額が所得区分ごとの上限を超えた場合が対象です。利用額が上限以下なら支給はありません。また、食費や居住費など対象外費用は上限計算に入りません。
Q. 1割負担でも対象になりますか?
A. 1割負担でも、利用するサービス量が多く、1か月の対象自己負担額が上限を超えれば対象になる可能性があります。
Q. 申請は毎月必要ですか?
A. 初回申請後の扱いは自治体によって異なります。自動的に支給される場合もありますが、口座変更や世帯変更がある場合は再手続きが必要になることがあります。
Q. 高額療養費と同じ申請書で手続きできますか?
A. 別の制度です。高額療養費は医療保険、高額介護サービス費は介護保険の制度なので、申請先と必要書類を分けて確認してください。
Q. 施設の食費や部屋代も返ってきますか?
A. 高額介護サービス費の対象外です。ただし、所得要件を満たす人向けに別の負担軽減制度がある場合があるため、市区町村へ相談してください。
まとめ|請求書の合計ではなく対象費用を確認
高額介護サービス費は、介護保険サービスの自己負担が所得区分ごとの上限を超えたとき、超過分の支給を受けられる制度です。請求書の総額だけで判断せず、介護サービス費と食費・居住費などを分けて確認することが重要です。
申請の流れは、利用明細を確認する、市区町村の案内を読む、申請書と必要書類を提出する、決定通知と振込を確認するという順番です。自治体によって案内や期限が違うため、対象かもしれないと思った時点で、住んでいる市区町村の介護保険担当窓口に相談してください。
公式情報・確認先
家計の支援制度を続けて確認したい人は、年金生活者支援給付金の対象条件と申請方法や、年金振込通知書の金額が前回と違うときの確認方法も参考にしてください。


