36協定の残業時間は月45時間まで?50時間を超えると違法になる?

36協定と月45時間の残業上限をイメージする日本のオフィス 🏠 生活・便利
36協定では時間外労働に原則月45時間・年360時間の上限があります。

36協定では、時間外労働の上限は原則として月45時間・年360時間です。そのため「残業が月50時間になったら違法なのでは?」と不安になる人もいるでしょう。

結論からいうと、月50時間だからという理由だけで直ちに違法になるとは限りません。臨時的な特別の事情があり、会社が特別条項付き36協定を適切に締結・届出している場合には、月45時間を超える時間外労働が認められる場合があります。ただし、特別条項があっても残業が無制限になるわけではありません。

この記事では、36協定の基本から「50時間残業した場合」「45時間を超える月が続いた場合」「60時間を超えた場合の残業代」まで、働く側の目線でわかりやすく整理します。

36協定と月45時間の残業上限をイメージする日本のオフィス
36協定では時間外労働に原則月45時間・年360時間の上限があります。

36協定とは?まず基本を簡単に確認

労働基準法では、労働時間は原則として1日8時間・週40時間までと定められています。この時間を「法定労働時間」といいます。

会社が法定労働時間を超えて従業員に時間外労働をさせる場合には、労働組合または労働者の過半数を代表する人との間で「時間外労働・休日労働に関する協定」を締結し、労働基準監督署へ届け出る必要があります。これが労働基準法第36条に基づく、いわゆる36(サブロク)協定です。

注意したいのは、会社で一般的に「残業」と呼ばれている時間と、法律上の「時間外労働」が必ずしも完全に同じではないことです。たとえば会社の所定労働時間が1日7時間の場合、7時間を超えて8時間まで働いた時間は社内では残業として扱われても、法律上の法定時間外労働には当たらない場合があります。

36協定の残業上限は原則「月45時間・年360時間」

一般的な労働者について、36協定で定める時間外労働の上限は原則として月45時間・年360時間です。36協定を締結していれば、どれだけ残業させてもよいという仕組みではありません。

そのため、通常の36協定だけで働いている人が法定時間外労働で月50時間になれば、原則の月45時間を5時間超えることになります。この場合は、会社が特別条項を設定しているかなどを確認する必要があります。

なお、対象期間が3か月を超える1年単位の変形労働時間制の場合など、一部では原則の限度時間が異なるケースがあります。自分の勤務形態が特殊な場合は、会社の36協定や厚生労働省の最新情報を確認しましょう。

残業50時間になったらすぐ違法になる?

ここが最も気になるポイントでしょう。月50時間の時間外労働=必ず違法というわけではありません。

たとえば、通常予見できない業務量の大幅な増加など臨時的な特別の事情があり、会社が特別条項付き36協定を締結している場合には、原則の月45時間を超えて時間外労働をさせることが認められる場合があります。

ケース 月50時間の時間外労働 確認ポイント
通常の36協定のみ 原則45時間を超える 上限を超えていないか確認が必要
特別条項付き36協定あり 認められる場合がある 特別な事情、協定内容、年間回数などを確認

つまり「50時間」という数字だけを見るのではなく、特別条項があるか、45時間を超えた月が年間何回あるか、年間の時間外労働が何時間か、休日労働を含めた時間が上限内かまで確認する必要があります。

特別条項があっても残業には上限がある

特別条項付き36協定がある場合でも、会社が自由に残業時間を増やせるわけではありません。一般的な労働者では、臨時的な特別の事情がある場合でも次の上限を守る必要があります。

  • 時間外労働は年720時間以内
  • 時間外労働と休日労働の合計は単月100時間未満
  • 時間外労働と休日労働の合計は2~6か月平均で80時間以内
  • 原則の月45時間を超えられるのは年6か月まで

たとえば月50時間程度だからといって毎月45時間を超え続けてよいわけではありません。45時間を超えることができる月数そのものにも制限があります。

45時間・60時間・80時間・100時間・720時間の違い

36協定を調べると数字がたくさん出てくるため、混乱しやすいところです。それぞれの意味を整理すると次のようになります。

数字 主な意味
月45時間 時間外労働の原則的な月の限度
月60時間 法定時間外労働が60時間を超える部分は割増賃金率50%以上
平均80時間 時間外労働+休日労働について2~6か月平均で超えられない上限
月100時間 時間外労働+休日労働について単月100時間未満にする必要がある
年720時間 特別条項を利用する場合の時間外労働の年間上限

特に注意したいのが80時間と100時間の基準では休日労働も含めるという点です。一方、年720時間という上限は時間外労働についての基準です。似た数字でも計算対象が異なるため、単純に月の「残業時間」だけで判断しないようにしましょう。

月45時間を超える残業回数をカレンダーで確認するイメージ
特別条項があっても、月45時間を超えられる月数には制限があります。

月45時間を超えるのは「年6か月まで」

特別条項付き36協定があっても、月45時間を超える時間外労働ができるのは1年間について6か月までです。

たとえば4月から9月までの6か月間、毎月45時間を超えて時間外労働をした場合、その年度の36協定の対象期間内ではすでに6か月に達しています。さらに別の月でも45時間を超えれば、回数制限に抵触する可能性があります。

ここで重要なのは「平均すると45時間以下なら問題ない」というルールではないことです。年間合計だけでなく、45時間を超えた月の数も管理する必要があります。

残業が月60時間を超えると残業代はどうなる?

月45時間と月60時間は意味が異なります。45時間は時間外労働の上限に関する基準ですが、60時間は割増賃金率に関係する重要なラインです。

法定時間外労働について、通常は25%以上の割増賃金が必要です。そして1か月60時間を超える法定時間外労働については50%以上の割増賃金率が必要になります。中小企業にも2023年4月から適用されています。

たとえば法定時間外労働が月70時間あった場合、単純に70時間すべてが50%増しになるという意味ではなく、原則として60時間を超えた部分について50%以上の割増率が適用されます。また深夜労働などが重なれば別の割増も関係するため、実際の給与計算は勤務状況によって変わります。

「会社が36協定を結んでいるか」は確認できる?

残業が多いと感じた場合は、まず自分の会社の36協定がどのような内容になっているか確認することが重要です。

36協定は労働者にも周知される必要があります。勤務先によっては社内イントラネット、就業規則を保管している場所、掲示板などで確認できる場合があります。見つからなければ、人事・総務担当者や労働組合などへ確認してみましょう。

確認するときは「36協定があるか」だけでなく、特別条項があるか、1か月と1年間の上限時間、45時間を超えられる回数、特別条項を使う条件まで見るのがポイントです。

自分の残業時間を確認するときの注意点

給与明細に記載されている「残業時間」だけでは、36協定上の時間外労働と完全に一致しない場合があります。会社の所定労働時間と法定労働時間が違うことがあるためです。

気になる場合は、タイムカードや勤怠システムなどで実際の始業・終業時刻を確認し、会社がどの時間を法定時間外労働として計算しているのか確認しましょう。

また、休日出勤についても「法定休日労働」に当たるかどうかによって扱いが変わります。80時間・100時間の上限を考える際には休日労働を含むため、平日の残業時間だけを見ると実際の上限管理とずれる可能性があります。

すべての職種で同じルールとは限らない

ここまで説明した内容は主に一般的な労働者に適用される上限規制です。建設業、自動車運転業務、医師など一部の事業・業務については、一般の労働者とは異なる上限や特例が設けられている場合があります。

そのため、トラック・バス・タクシーの運転業務や医療関係などに従事している人は、この記事の数字だけで判断せず、厚生労働省が案内している自分の業種向けの最新ルールを確認してください。

また、個別の勤務状況について「違法かどうか」を判断するには、36協定の内容、労働時間の計算方法、休日の扱いなどを総合的に確認する必要があります。判断が難しい場合は、勤務先の担当部署や労働基準監督署などの公的な窓口に確認するとよいでしょう。

36協定と自分の残業時間を確認する会社員
残業が多いと感じたら、36協定と自分の勤務時間をあわせて確認しましょう。

まとめ|残業50時間なら36協定の特別条項と年間回数を確認しよう

36協定による時間外労働の上限は、原則として月45時間・年360時間です。ただし、臨時的な特別の事情があり、特別条項付き36協定が適切に締結されている場合は、45時間を超えることが認められる場合があります。

そのため、月50時間の時間外労働だけを見て「必ず違法」と判断することはできません。一方で、特別条項があっても年720時間、単月100時間未満、複数月平均80時間以内、45時間超は年6か月までという上限があります。

残業が多いと感じたら、「今月50時間だった」という数字だけを見るのではなく、会社の36協定、特別条項、45時間を超えた月数、年間の時間外労働、休日労働まで確認することが大切です。

参考:厚生労働省「労働条件・職場環境に関するルール」厚生労働省「時間外労働の上限規制」

よくある質問

残業が月50時間になったら違法ですか?

月50時間という数字だけで直ちに違法とは限りません。原則の月45時間を超えているため、特別条項付き36協定の有無や、45時間を超えた月数、年間時間、休日労働を含めた上限などを確認する必要があります。

36協定があれば月45時間を超えて残業できますか?

通常の36協定だけでは原則月45時間・年360時間が上限です。臨時的な特別の事情があり、特別条項付き36協定が締結されている場合は45時間を超えられることがありますが、さらに法律上の上限があります。

月45時間を超えられるのは年6回までですか?

一般的な労働者では、特別条項を利用して原則の月45時間を超えられるのは1年間について6か月までです。

残業が月60時間を超えると給料はどうなりますか?

1か月60時間を超える法定時間外労働については50%以上の割増賃金率が適用されます。通常の法定時間外労働は25%以上ですが、深夜労働などが重なる場合は別の割増も関係します。

月100時間未満の上限には休日出勤も含まれますか?

特別条項を利用する場合の単月100時間未満という上限は、時間外労働と休日労働を合計して判断します。

複数月平均80時間以内とはどういう意味ですか?

時間外労働と休日労働の合計について、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月のそれぞれの平均を80時間以内にする必要があるという意味です。

会社が36協定を結んでいるか確認できますか?

36協定は労働者への周知が必要です。社内イントラネットや掲示、会社の担当部署などで確認できる場合があります。特別条項の有無や上限時間もあわせて確認しましょう。

45時間を7か月超えたらどうなりますか?

一般的な労働者では、特別条項があっても月45時間を超えられるのは1年間について6か月までです。7か月以上になっている場合は上限規制に抵触する可能性があるため、実際の時間外労働の計算や36協定の対象期間を確認する必要があります。

参考・出典